
ビルマ情報の翻訳と、情報提供のためのWebサイトの運営を始めて4年が経つ。タイ国境にある学生組織のキャンプで、ロウソクの灯りで必死に勉強する青年や、BBCラジオに耳をそばだてる人たちの姿を目にし、何かしなければと始めた作業だった。しかし英語と日本語の情報量の差はいまだに埋まっていない。
なぜというと、とにかく量が多いのだ。ニュースから、各団体の声明、NGOの報告書、イベント案内、署名要請から軍政のプロパガンダに至るまで、ありとあらゆるビルマ情報がネット上に氾濫している。そこにあるのは、厳格な言論統制が敷かれたビルマ国内とは対照的でカオス的な光景である。

とはいえ生の情報をそのまま相手にしては身が持たない。ここでは簡単な見取り図を提供するため、ビルマ情報のリソースを3つ紹介したい。
もっとも基本的なリソースは「バーマネット」だ。これは世界各地の情報を集めた英語の日刊メールマガジンで、創刊は94年。ニュースや論説のほか、民族組織や民主化勢力、軍事政権の発表など多彩な内容だ。毎号20頁近くあるので、読み続けるには根性がいるかもしれない。www.burmanet.org
次に挙げるべきは、世界最大の民主化支援ネットワーク、FBC(フリーバーマ・コアリション)だろう。95年にビルマ人のザーニ氏が米国で立ち上げ、わずか数年でペプシをビルマから撤退させたことで知られる草の根組織だ。FBCの標語は「クモが力を合わせれば、ライオンを縛り上げることもできる」という諺で、インターネットによる世界的なネットワークのあり方を象徴している。www.freeburmacoalition.org
また日本語の情報源としては、筆者が運営する「日本語によるビルマ民主化情報」のサイトが利用できる。資料の蓄積だけでなく、「週刊Burma
Today」や催し物案内などの配信も行っている。またFBC日本語サービスセンターはビルマ情報の解説や、キャンペーンへの参加要請を行っている。www.jca.apc.org/~kotetu/burma/

これらのサイトを眺めれば、ビルマ情勢がなんとなく見えてくるはずだ。なお軍事政権のサイトには公式発表や国営紙の記事などの英文情報があり、比べてみると面白い。www.myanmar.com
このほか、ビルマを中心にアジアの問題を扱う月刊英字誌「イラワディ」編集部は、最新ニュースをこまめに更新している。www.irrawaddy.org
環境と人権を結びつけるNGO、地球の権利インターナショナル(ERI)は、ビルマ関係の出版物を公開している。www.earthrights.org
自らの資産を世界各地の民主化支援に注ぎこむジョージ・ソロス氏の財団、OSIにもビルマのページがある。www.soros.org/burma/burma.html
またアムネスティなどの人権NGOや国連機関のサイトにもビルマ情報がある。これらの発表の元には、国内外の諸団体の膨大な調査報告がある。こうした団体が英語で活動を続けなければ、ビルマ問題が現在のように国際的な注目を集めることはなかっただろう。
ここでは紹介しきれないが、この他にも数多くの団体がサイトを運営しており、独特な配色センスなども含めて非常に興味深い。詳しくは筆者のサイトのリンク集を見てほしい。

ビルマ民主化運動や民族運動に関わる人たちの多くにとって英語は母語ではない。英語で公開される情報とは、その内容を一人でも多くの人に伝えたいという意思の表れであり、闘いそのものと言ってもいい。世界各地のWebサイトはその闘いの軌跡であり、出発点なのである。