@インターネットカフェ          
客のほとんどが中高生である




A無線LANサ―ビスを利用できる飲食店の外観



B写真Aの店内
大学生や大人が多い



*連載9 「普及するインターネットカフェ」 
                   
                   
エッセイスト・ラフマン愛


 インドネシアのインターネット人口は、推計約5,800万人と少ない。人口比にすると4人に1人の割合である。都市部から少しでも離れると、電話回線自体がまだ整備されていないところも多いので、仕方ない。また、電話回線を引けない貧困層も数多くいる。私の周りでは、パソコンで何ができるのか、インターネットとは何なのか、まったく知らず、知りたいと思うこともなく生活している人も多くおり、ほとんどは女性だ。
 
 とは言え、ここ5年でインターネット人口は3〜4倍ほどに増加している。5年前はわずか1,600万人で、16人に1人の割合だったのである。なぜこれほどに増加したのかと言うと、一つに回線の改良が進んだことが言える。私がインドネシアに移住してきた頃は、メールをチェックするだけで30分以上も時間を要した。とにかく遅かった。あと、途中で何度も回線が途切れ、そのつどやり直しをしていた。そんな具合なのに料金は非常に高かった。そのあたりのことが今はほとんど改善され、光を使った高速回線と言うものはないが、4,5年前の日本並みにはなってきている。

 インターネットカフェや公衆無線LANサービスを提供する場所が増えたことも、インターネット人口増加の一因に挙げられる。5年前、マカッサル市内のインターネットカフェは、私が覚えている限り1,2件程度だった。それが今や500mに1件はあるのでは、というほど乱立している。1時間3,000ルピア〜6,000ルピア(約30円〜60円)ととても安いので、中学生でも利用する子らが多い。また、無線LANを利用できる飲食店であれば、ノートパソコンを持参し、飲み物一つ頼みさえすれば、何時間でもいられて料金は飲み物代のみ。安い。本当に安い。パソコンも約2万円強出せば買えるようになった。これもまた5年前と比べると、需要が増えるとともに安くなってきている。
 
 今のところ増加傾向にあるインターネットを利用する人々、日本人と決定的に違うところがある。それはその目的である。インドネシア人は情報収集のためにインターネットをしている人は少なく、音楽やゲームなどの遊びのツールとして使っているのである。日本では昨今急成長しているネット企業、ネットビジネスは少ない。ネットショップやオークションで物を売ったり買ったりしている人は聞いたことがない。今まで家、もしくはゲームセンターでゲームをしていた子らが、インターネットカフェに流れている。プレイステーションが、インターネットに取って代わっただけのこと。

 貧困層でも多くの男子学生がインターネットカフェへ行ってオンラインゲームを楽しむようになった。オンラインゲームをするために、facebookで自分のページを持っている人が多くいる。facebookというのは、ソーシャルネットワーキングサービスのことで、自分の掲示板や写真、オンラインゲームを、友人やfacebookメンバーと共有できる。

 ただゲームを楽しんでいるだけならかわいいものだが、プロフィールや写真を掲載するため、出会い系目的の犯罪が発生しつつあり、小中学生の利用には問題がある。先日も、facebook内での売春斡旋組織が摘発された。

 インドネシアでは、私立小学校なら1年生からコンピューターの授業がある。が、公立校ではそれがない。これほどにインターネットカフェが普及した今、貧困層の通う公立小学校でもそろそろコンピューター教育が必要な時期になってきている。無知により犯罪に巻き込まれる可能性もある。公立中学校では、インターネットカフェに行き、課外授業としてパソコンを学ぶところが増えてきた。それほどにインターネットカフェが増えたということだ。

 夫の仕事関係でもインターネットカフェの内装の注文が多く入ってくる。今インドネシアでは、ネットビジネスならぬ、ネットカフェビジネスが盛況している。こういったことを機に、どんどん政府はインフラ整備に力を入れていって欲しいと切に願っているのである。



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