福田信吉 写真展

草原の鉄路









会期:2010年4月3日(土)〜4月14日(水)
午前10:30〜午後7時(最終日午後3時) 会期中年中無休
入場料:無料

場所:コニカミノルタプラザ・ギャラリーA(東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F)  地図
最寄り駅:JR新宿駅東口、地下鉄丸の内線「新宿」駅A7出口から徒歩1分(フルーツの新宿高野4F)
お問い合わせ先:コニカミノルタプラザ(TEL:03−3225−5001)

プロフィール:福田伸吉(ふくだ しんきち)
1944年 群馬県生まれ
1968年 日本国内の蒸気機関車の撮影始める
1976年 海外の蒸気機関車の撮影を始める

蒸気機関車の撮影をライフワークとして、中国をはじめ21ヶ国の蒸気機関車を撮影。
現在も数少なくなった蒸気機関車を中心に、撮影活動を続けている。

雄大なモンゴルの草原を走る蒸気機関車




今回の写真展のテーマは何ですか?

福田:中国内モンゴル自治区東部の集通線38点・白阿線2点を走る蒸気機関車をカメラに収めました。国内外の蒸気機関車の撮影を40年以上続けていて、今回の写真展は2002年「流砂の鉄路」、2007年「杯山の鉄路」に続く中国鉄路3部作の最終章です。草原を背景にしたのは、僕は鉄道写真としてよりも風景写真としての美しさを重視して撮影しているからです。見渡す限りの大草原は本当に素晴らしく、四季折々の表情の変化も豊かです。






消え行く実用蒸気機関車

アジアや蒸気機関車に興味を持ったきっかけは何ですか?

福田:子どもの頃から写真が好きで、現像所に勤めました。趣味でずっと写真撮影を続けていました。独立してからは、撮影旅行に出かける時間も取れるようになりました。
 風景画から撮り始めて、蒸気機関車に被写体として興味を持ちました。国内の蒸気機関車も多く撮影しました。ただ、日本では蒸気機関車はもう観光用となっていました。僕が興味あるのは、人々の生活を支える実用蒸気機関車です。
 そのため、海外に撮影に出かけるようになりましたが、ヨーロッパなどでも蒸気機関車はどんどん観光用になっています。中国でも、都市部では無煙化やDL化が進んでいます。そんな時代の流れのなかで、内モンゴルの鉄路は蒸気機関車がまだ現役で活躍する数少ない土地です。地理的に近く、滞在費用も安く済みます。
 貨物列車ですと時刻表がなく目の前をいつ通るかわからないため、カメラを持ったままいつまでも待ち続けます。冬の内モンゴルはマイナス30度まで下がるので、寒さでカメラのシャッターが動かなくなったこともあります。それで、いつも2台持っていくようにしています。冬の写真は、雪景色のなかで排出される煙が際立って美しく見えて気に入っています。
 7〜8年前までは、中国国内の移動や撮影には当局の許可や案内人が必要で、写真を撮影中に警察に尋問されたこともありました。大変な撮影旅行ですが、内モンゴルのような観光地化されていない田舎の人々は素朴で魅了があります。






尽きせぬ蒸気機関車への情熱

今後はどのような活動を予定していますか?


福田:これからも中国の蒸気機関車を撮影し続けるつもりです。65歳の現在、今回が7回目の写真展なのですが生涯に10回を目標にしています。鉄の塊である蒸気機関車と何もない草原ですが、一刻一刻変化する表情を見せてくれます。まだ決定していませんが、四季ごとの草原蒸気機関車の風景や、鉄道と共に暮らす人々の写真の展示などの企画を考えています。
 僕の写真を見て、僕と同じ世代の方々は蒸気機関車が生活の一部であった頃を懐かしく思い出してもらい、観光用以外の蒸気機関車しか知らない若い方には、現役で働く蒸気機関車の姿について知ってもらえれば嬉しいです。





取材:冨久田純

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