文芸東北

・年12回発行
・A5判、40ページ前後
・525円

〒980・0822
仙台市青葉区立町25-4
マンション立町103
電話022・223・0333








● 仙台から日本文学に新風を吹き込む


月刊・同人雑誌『文芸東北』は昭和34(1959)年11月25日に創刊第一号を発刊。いらい幾多の苦難とたたかいながら、平成20(2008)年の1月号で500号を記録。
当時詩を書き、エッセイストとしても活躍していた新聞記者の大林しげるは、敗戦前に台湾の中等学校の教諭でその作品『南方移民村』で台湾文学賞を受賞した浜田隼雄や、NHK仙台に勤務していた改造文学賞受賞の作家たちをはじめとして、作品を発表する機関の必要を痛感していた詩人・作家・エッセイストたちと語り合っていた。
さらに東北大学文学部長で歌誌『群山』を刊行の著名な歌人である扇畑忠雄教授、孫柳の号で俳句『饗宴』を主宰し詩人としても活躍していた永野為武東北大学教授(理学博士)、詩人として活躍していた石井昌光宮城学院女子大教授(後に学長)の三氏も大林の熱声に一も二もなく、最初の同人となって支援した。
『文芸東北』は昭和35(1960)年2月、第三種郵便物認可を受け、平成20(2008)年6月号現在で505号を迎えた。
この長い継続の中で教授たちは三氏ともにそれぞれの善行を褒められて無事安寧の大城に住み、多くの同志たちも善行を賞讃されて幸せの郷の住人になっているはず。会員諸賢の移動はあったものの、地方の文学誌としておよそ五十年に近い年月、欠かすことなく発行し続けたことは、文学の世界の人々の努力の研鑽と積善によるのだと思惟している。
また、文芸誌発行だけにとどまらず、平成元(1989)年に『文芸東北』創刊30周年をよろこび、同人一同の大賛成でさらなるよき社会の創造をめざして、『東北文学賞』を創設。人間社会の文化と平和の世界と、すばらしい人間精神を築きゆく新人作家の発掘・育成、ひいては現代から未来へと、日本文学に新風を吹き込むことを念願、選考委員に八木義徳、宮本輝、青野聰の三氏を迎え、第1回目は東北6県在住者に限定して作品を募集した。
翌年の第2回より、伊藤桂一、大河内昭爾、三好京三の三氏を選考委員に、北海道の方々の熱意を受けて『東北北海道文学賞』と改め、応募条件を東北・北海道地域の在住者、出身者など地域に関係ある方々に広げ、今年四月に第18回の受賞者を世に送った。現在は第19回の文学賞の作品を受付中である。
第1回の文学賞受賞の渡辺毅さんは、その後、第12回坪田譲治文学賞を受賞し、さらに第8回歴史群像大賞優秀賞を受賞、その後、学研M文庫より「そこむし兵伍郎」「鳴動」「雪すだれ」「風を斬る」などの名作を発刊。さらに後進の発見、助言、指導に献身的な奉仕をされている。
第4回受賞者の桂城和子さんは、続けて三田文学新人賞を受賞。
第7回受賞者の大浜則子さんは、続けて第1回海洋文学大賞優秀賞を受賞している。
また、同人の中には、小説作品や詩集を上梓している人も多い。
小説では、大林しげる、渡辺毅、安久澤連もみなさん、詩集では大林しげる、大林美智子、佐藤達男、小山修一のみなさん、随筆作品では古橋弘子、沢村柳子、牧道子、藤木実さんがいる。
現在同人は34名、会員多数。
会員登録で誌への掲載権を持つことになり、文芸東北を発表誌として世に問うことができる。会員会費は年間五千五百円、同人は同人会議において推薦される。同人会費は年間一万円。
月に一度(土曜日の午後二時〜五時)同人、会員による合評会を開催し、文学を語りあっている。
文芸東北の表紙絵、および目次のイラストは同人の作品である。
日本文学に地方から新風を巻き起こすことを目標に、今後も仙台から全国に向けて発信し続けたい。(「文芸思潮」24号掲載)




第18回東北北海道文学賞授賞式