秋山登喜雄




春のかおり



僕は前から探してる 自分の詞(ことば)

だけど見つからず

途方に暮れてしまうけど 僕はあきらめないよ あきらめない



僕は前から探してる 自分の道を

手探りしながら

気が遠くなるような夜に まるで星屑探す人のように



いつかの町に春のかおり

ふと流れて我に返ったなら

自分の言葉や人生を

その瞬間 見つけるだろうさ



僕は前から探してる 自分の未来(あした)

だけどわからずに

頭を抱えてしまうの

でも誰も助けてはくれないのね



僕は前から探してる 自分の夢を

闇を駆けながら

気が遠くなるような夜に 一人裸足で走る人のように



いつかの町に春のかおり

ふと流れて我に返ったなら

自分の明日や憧れを

その瞬間 見つけるだろうさ



(同人誌「シルクロード」掲載)





風待草の詩



桜であるあなたは

梅である私の

古い名前をご存じですか それは風待草

春風を待ちわびる

なんて滑稽な恋愛遊戯でしょう

ああ今年も

あなたは桜色した

その姿態を

花見客らに見せつけるのか

自分の心と体を

売り物にして

桜とは何て悲しい娼婦のようですね



桜であるあなたに

梅である私の

思い届かず木枯らし続き そんな風待草

春風はまだ吹かぬ

なんて残酷な冬枯れ季節でしょう

ああ今年も

あなたの桜色した

あの姿態は

飢えた鳥らに犯されるのか

自分の心と体を

ボロボロにして

花びらに似た か細い泪をこぼすんです



(同人誌「シルクロード」 掲載)






現代のサムライ



こんなしがない社会を生きる

僕らは現代のサムライ



こんなしらけた世の中を渡る

僕らは孤独な渡り鳥



古ぼけた時代をかえりみず

安っぽい笑顔をふりまいて

歩く 心にナイフをしのばせて

弱い男になったもんだね

現代の若者よ



死ぬことばかり考えている

君らは悲しい旅人だ



傷ついた昔をひきずって

甘えた自分を売りながら

歩く 瞳にナイフをひらめかせ

弱い男になったもんだね 現代の若者よ

弱い男になったもんだね

現代のサムライよ