どこが悪くて、子が生まれないのか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・絹田薫



 昭和12年生まれの私は、大正12年うまれの長兄(日中戦争で戦死、次の兄は東京で勉学中死亡)を頭に兄弟が5人居る。残り3人は健在だ。

 私の長女、次女は昭和30年代に生まれた。ではなぜ、次の子供を産まないか、第一にそれは自分らが育てていく自信が無いからである。育てる環境もできていない。第2に社会の風潮である。この子供は5人という風潮のあった昭和初年頃はどこの家も多かった。本家は5人その下は5人、西は5人空の家は5人、その下は3人と多かった。その風潮は何によって生まれたのであろうか、子供の育てやすい環境である子供が大きくなって中学生になればまたそこで問題にぶつかる。「いじめ」という大きな問題である。

 いじめに勝ち抜いていくにはどうしたらいいか今の社会はその答えすら出していない。みんなが寄ってワーワーと話をしているだけである。これに対する回答を風潮と見るが、いかがなものであろうか。「いじめ」は学校で起る場合が多い。個人個人は普通の人間である、集まれば悪くなる、そんな「いじめ」に親が気付くのは遅い。先生や学校がどこまで頼りになるのだろうかと心配になる。保育所、幼稚園の充実、女性の就労、等大切な事である。学校、教育委員会はこの問題にもっと正面からとり組んで欲しい。保育所が増えたところで一時的に子供の数は増えても親の考えを変えねばならない。

 さて、親の考えを変える事は容易な事では無い。社会の空気をそのように醸成しなければならない。

 出生率は連続で過去最低を更新した。社会保障制度への影響は大きい。国は、07年に1.30台で底を打って五○年に1.39に回復するとしていた中位推計を、年金の給付水準などの前提にしている。制度見直しが急務となろう。

 だが、少子化の深刻さは社会保障にとどまらない。既に昨年、日本の人口は減少局面に入った。人口増に向かうためには2.08もの出生率が必要だ。今後、多少出生率が回復したとしても、人口減少は止まらない。人口が少ない世代が生む子供の数がさらに少なくなり、減少は加速度を増す。国の根幹を揺るがす問題だ。しかし政府の対応は心もとない。社会保障給付費の中で家族関連は3.8%にすぎないなど、迫力を欠いた。

 女性労働者の半数を超えるパートや契約社員など非正社員と正社員の子育て支援の格差は依然大きい。

 育児・介護休業法は、昨年度から非正社員でも一年以上働いた実績などがあれば、育児休暇が取れるようになったが、実際に取れる人は少ない。非正社員は有期雇用が多く、妊娠や出産前後に契約期間が終わると、再契約を拒まれるケースが後を絶たないからだ。専門学校で非常勤講師をしていたA子さん(33)は2003年に出産した際、契約満了を理由に退職勧奨された。外部の労働組合に加入して交渉し、復職はできたものの、給料は3分の1に減らされた。その後も待遇は変わらない。再就職したA子さんは「出産するだけでこんな仕打ちを受けるとは思っていなかった。もう一人欲しいけど、今は考えられない」と話す。調査してみると、企業の競争が激化し、妊娠、出産時に追い出されることが解った。ある人は「働きながら子育てをするな」ということですなと冷笑する。

 要するに親も、社会も政府も、もっとこの間題を正視しなければならない。保育施設の充実も重要な要件である。

「いじめ」の問題に、学校や社会がもっと深く関わり、育児休業を正しく理解し行動を起こし、保育施設の充実、無くして日本の未来はない。